骨格筋のエネルギー発生の仕組み
骨格筋の直接のエネルギー源はアデノシン三燐酸(adenosine triphosphate:ATP)である。
ATPがアデノシン二燐酸(ADP)と燐酸に分解されるときに発生するエネルギーが筋収縮に用いられる。
しかしATPの貯蔵量は少なく数秒程度で使い切ってしまうため、体内ではエネルギーを使って再合成(酸化的リン酸化)が行われている。
ATP再合成のためのエネルギー発生の仕組みには燐酸系、解糖系、有酸素系の3種類がある。
燐酸系はCP系とも呼ばれ、クレアチン燐酸(Creatine phosphate:CP)の分解によりエネルギーを発生させるものであり、最高の運動強度で約10秒間持続可能である。
解糖系は乳酸系ともよばれ、グリコーゲンがピルビン酸を経て乳酸に分解される過程でエネルギーが発生する。最高の運動強度で持続時間は1〜2分間程度である。燐酸系でも解糖系でも酸素は消費されない。
これらに対して有酸素系では酸素を消費し、長時間に渡り持続できる。
グリコーゲン、乳酸あるいは脂肪からアセチルCoAが生成され、さらに化学反応を経てエネルギーが発生する(化学反応名はクエン酸回路)。
主としてこの有酸素系から多くのエネルギーを取り出す運動が有酸素運動であり、有酸素系以外(燐酸系と解糖系)からエネルギーを取り出す運動が無酸素運動である。
クエン酸回路
クエン酸回路(くえんさんかいろ、Citric Acid Cycle)とは好気的代謝に関する最も重要な生化学反応回路であり、酸素呼吸を行う生物全般に見られる。1937年にドイツの化学者ハンス・クレブスが発見した(この功績により1953年にノーベル生理学・医学賞を受賞)。
解糖や脂肪酸のβ酸化によって生成するアセチルCoAがこの回路に組み込まれ、酸化されることによって、ATPや電子伝達系で用いられるNADHなどが生じ、効率の良いエネルギー生産を可能にしている。またアミノ酸などの生合成に係る物質を生産するという役割もある。
クエン酸回路。クエン酸回路の呼称は高等学校の生物学でよく適用されているが、大学以降ではTCA回路、TCAサイクル(tricarboxylic acid cycle)と呼ばれる場合が多い。一般的には『クエン酸回路』の名称がよく浸透していることから、ここでは記事名はクエン酸回路としている。その他に、トリカルボン酸回路、クレブス回路(Krebs cycle)などと呼ばれる場合もある。
参考:クエン酸サイクル